質量分析、メタボロミクス、データ解析

質量分析では検体の前処理や分離操作が必要ですが、
我々のシステムでは検体を一切の前処理なく、直接質量分析することが可能です。

例えば下の写真のようにマウスを麻酔下で開腹し、生きたまま肝臓から質量分析するといったことができます。
我々の研究室では世界で始めて、PESIを用いて生きた動物からリアルタイムに
低分子代謝物を検出することに成功しました。
Development of Non-proximate Probe Electrospray Ionization for Real-Time Analysis of Living Animal,
Yoshimura et al., 2014




市販されている質量分析装置は動物を直接測定することなどは想定されていませんので、
デフォルトのインターフェースでは生きた動物を分析できません。
マウスですと下の写真のように、なんとかならなくもないですが、かなり厳しい状態です。
実際に初期はこのような状態で分析を行っていました。


そこで動物などの大きな検体を分析可能とするために、
イオン検出機孔を質量分析装置から遠隔化した改良機であるNon-proximate PESI-MSを開発しました。
PESIの原理や検体の分析手順などの詳細はこちらをご覧ください



Non-proximate PESIのシステム概要
質量分析装置のイオン検出器孔にコネクターを用いてステンレスチューブを取り付けます。
図では200 mmですが、1200 mmまで延長でき、分析対象がヒトでも十分な空間を確保できます。
ステンレスチューブの先端はPESIプローブのイオン化位置となっており、
ここからイオン化された生体分子が吸い込まれます。
コネクターの下方はダイアヤフラムポンプにつながっており、気流によってイオン輸送が補助されます。
現在さらにPESIプローブの先端に溶媒スプレーシステムを設置し、イオン化効率の向上や安定化と、
連続測定時のキャリーオーバー回避を試みています。
スプレー支援システムはほぼ完成しており、近日論文を投稿予定です。
システムの詳細に関してはこちらのページをご覧ください。


Yoshimrua et al., Mass Spectrom. 2014

実際の分析の様子は以下のようになります。

動画はこちら

代謝産物には組織の摘出や、その後の前処理の過程で存在量が直ちに変化してしまうものがありますが、
これをいかに防ぐかが、生体におけるありのままの状態を知ために重要です。
その点Non-proximate PESIでは、生きた動物の組織から直接的に代謝産物の存在量を解析することが
可能ですので、従前の方法では見ることのできなかった真の存在量変化を解析できます。
現在肝炎および脳炎モデルマウスを用いて、代謝産物の発現量変化を
リアルタイムで解析することを試みており、結果については近日報告予定です。

Non-proximate PESIは内在性分子の発現量を解析することができますが、
投与された薬剤の動態を解析することも可能です。
下図はマウスの尾静脈から投与された薬剤が肝臓に輸送され、その後代謝される様子を経時的に観測した例です。

Yoshimrua et al., Mass Spectrom. 2014
検出されたスペクトルから分子を同定すれば、リアルタイムメタボローム解析システムとして利用できます。


また前処理不要、リアルタイム分析が可能という特徴を生かし、
術中オンサイト診断への応用に向けて研究を進めています。
脳腫瘍の診断に用いた例はこちら



さらに本システムは医学、生物学分野みならず、様々な分野に応用することができます。


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