質量分析、メタボロミクス、データ解析

PSEI-MSを用いて様々な疾患の診断を試みていますが、ここでは脳腫瘍の診断を例に紹介します

脳腫瘍には多くの種類がありますが、現在はそのなかでも神経膠腫 (グリオーマ) に絞って
診断システムの構築を試みています。
グリオーマにもさらに分類がありますが、ここでは全てまとめて非腫瘍部と、腫瘍部の2群の判別を例示します。

まず手術で摘出された検体を収集し、マススペクトルデータベースを構築します。
どの程度のデータを収集すれば診断が可能かはその質にもよりますが、
まずは20症例の患者より、100検体の非腫瘍、腫瘍部切片を収集し、
それを質量分析して1000以上のマススペクトルを取得することを目指します。

データが集まれば次に機械学習を行い、交差検証で非腫瘍と腫瘍の判別が可能であるかを確認します。

以下は実際の結果です。
膠芽腫患者16症例 160検体 829マススペクトルをPLS-LRで判別し、
leave-one-out cross-validation (LOOCV) を行なった。

LOOCVによる病理診断結果との一致率:86.01%

この結果は未知の検体を非腫瘍部、腫瘍部のどちらであるかを当てる確率が86.01%であるということを示してます。
ここで重要なことは、上記の判別は組織染色やがんマーカーの検出など、従前の方法論による
一切の情報を必要とせず、マススペクトルパタンの比較のみで行われているということです。


PESI-MSは検体を前処理なくリアルタイムで質量分析が可能ですので、
このシステムを手術室に持ち込めば、術中迅速診断が可能となります。
臨床現場での実使用に向けては判定精度の向上や、グレード判別を可能にするなど、
まだまだ超えなければいけない壁は多いですが、まずは一歩を踏み出したと言えます。

上記の研究は山梨大学医学部脳神経外科学講座 木内 博之 先生、川瀧 智之 先生と共同で進められています。
またJSPS科研費 基盤研究(C) 16K08964の助成を受けたものです。
題目:悪性神経膠腫の術中迅速診断支援システム開発と有用性の検証

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